1884年10月、横浜港を見下ろす丘の中腹で、わずか5名の学生とともに産声を上げた横浜バプテスト神学校。この小さな学校を第一の源流とする関東学院は、本年140周年を迎えます。
創立以来、近現代という時代の大きな流れのなかで、ときに困難と向き合いながらも、学院は歩みを進めてきました。今日では、幼児教育から高等教育まで、15,000名を超える次世代を担う若者たちが在籍しています。
横浜・山手の外国人墓地に眠る横浜バプテスト神学校初代校長 アルバート・A・ベンネットの墓碑には、’He lived to serve.’と刻まれています。また、初代院長 坂田祐は、中学関東学院の第1回入学式で「人になれ 奉仕せよ」と訓示し、以来この言葉を校訓として継承してきました。どの時代においても、キリスト教教育を土台としながら、他者に奉仕する人材の育成に努めてきたのです。
この学院で学んだ多くの人々が、社会をけん引する人、あるいは下支えする人として「人になれ 奉仕せよ」を指針に活躍していることを、大変うれしく思っています。
一方で、我が国は人口減少社会に突入しています。かつて世界で第2位を誇った経済規模も、2023年には世界第4位となり、この先も厳しい見通しが示されています。政府予測を超えて出生数の減少が続く現状は、私立学校を運営する私たちにとって、経験したことのない困難な時代が差し迫っていることを示しています。
未来を少しでもよりよいものにするために、他者に、社会に奉仕する人材を育成していくことは、私たちに与えられた使命です。困難な時代だからといって、この使命を簡単に手放すことはできません。
この学院の創業者たちは、乏しい資源のなかで学校を立ち上げました。また、横浜が壊滅的な被害を受けた関東大震災や、戦時下の大空襲といった困難に立ち向かい、それを潜り抜けて学院を発展させてきました。未来に向かって更なる歩みを進めて行くため、この140周年の節目に先達たちの熱情を振り返り、思いを今一度新たにする機会にしたいと願っています。
学校法人関東学院
理事長 規矩大義 学院長 松田和憲