関東学院学報 No.45
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Hiroyoshi KikuKANTO GAKUIN NEWS No.45 3新たなフィールドへ/特別インタビュー 理工学は、「物質」や「機械」を対象にした学問だと思われがちですが、本当にそうでしょうか。本来、学問は「人」や「社会」を相手にしています。それゆえ、理工学の対象ももちろん「人」と「社会」なのです。今現在、そしてこれからの「社会」に必要とされる技術を開発し、「人」に役立つことを実現すること、それが本学部の考える実学です。この考え方は、校訓「人になれ 奉仕せよ」にも通じるものがあります。私自身は、理工学部の未来に向けられた言葉であると、再度その意味をかみしめているところです。本学部が目指す技術者は、「技術屋」ではありません。単に技術的なセンスがあり、小手先のプレゼンテーション能力にたけていても意味はないのです。自然、科学、人間と真正面から向き合い、いつも清廉で、実直さや公共心にもあふれ、社会や人類、地域の幸福と発展に貢献できる人材、言いかえれば何より「人」に配慮できる感性をもった技術者を育てていきたいと考えています。 そのため、教育システムにも大きな特色をもたせました。自らが所属する学系の専門分野を学ぶだけでなく、それ以外で興味をもった分野を二つ目の専門分野として自由に講義を受講できる制度も設けました。また、これまで以上に学生と教員の距離を近づけるために、教員の意識改革にも乗り出しています。学ぶことでも、研究においても、学生と教員はパートナーです。ですから、どの学系を選択しても、教授によるきめ細やかな指導に加えて、教員と学生が一緒に「手で考え」「心で学び」「失敗して笑う」実感や体験を通じて、お互いを高め合うことができる人間的なつながりを深めていきます。その結果、教職員と学生の共同作業の中で技術者として成長することが可能になるのです。 学生の皆さんには、人や社会を動かす重要な基盤として、未来を牽引していく存在になるという気概と志をもってほしいと思っています。大学4年間での最大の研究成果は「自分自身」でなければなりません。形として目には見えなくても、自分がやってきたことが社会の基幹なのだと認識でき、社会に貢献できる満足感を得て欲しいと願っています。 21世紀になって、社会を取り巻く環境は大きく変化しました。今後はエンジニアが果たす役割はますます大きくなるのではないでしょうか。大学は4年間しかありませんが、ここで得られることは一生の財産になります。関東学院大学と自分自身を誇りに思えるような、新しい歴史と未来を学生と共につくっていこうと考えています。University Reorganization/College of Science and EngineeringKanto Gakuin University’s College of Engineering will disband the current one-college six-department system consisting of two disciplines, science and engineering, to create a new college in April 2013. This new college will be named the College of Science and Engineering. The College of Science and Engineering will offer 11 courses in the following seven basic disciplines that serve as the basis of all science and technology fields. The aim of the new College of Science and Engineering is to develop technical experts who can contribute to the present-day society, which is becoming increasingly complex, by making use of their own competence acquired through learning at the college. 関東学院大学工学部は、これまでの1学部6学科体制から「理学」「工学」という垣根を取り払い、科学技術の基本となる「生命」、「数理・物理」、「化学」、「機械」、「電気」、「情報」、「土木・都市防災」という7つの基本学系のもとに11のコースを擁する「理工学部」として2013年4月に新たに生まれ変わります。より一層複雑化する現代社会において、本学部の学びから自らが身につけた真の実力で社会に貢献できる技術者の養成を目指していきます。「人や社会を幸福にできる」知見と技術を修得する「人間」と「科学」を学び、「人」と「社会」を支える技術者を目指して、工学部が理工学部へと再編されますProfile1993年 九州工業大学大学院工学研究科設計生産工学専攻博士課程修了2002年 関東学院大学工学部助教授着任2007年 関東学院大学工学部教授25年以上地震時の液状化に関する研究に従事理工学部長就任予定(現工学部長)規矩大義理工学部2013年4月開設

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