関東学院学報 No.45
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18 KANTO GAKUIN NEWS No.45関東学院各校NEWS関東学院六浦中学校・高等学校3年生前期総合学習「ハザードマップ」六浦中学校・高等学校教諭 芹个野 秀己年度より、本校3年生では総合学習としていくつかの講座を設けることになり、その中で「関東六浦オリジナル商品の作成・販売を⋮」という観点から、「関東六浦生の、関東六浦生による、関東六浦生のためのハザードマップを作成・販売」を実施してみることになりました。しかし、案を出してみたのはいいものの、実際には大きな壁がいくつもありました。例えば、販売するためには商品を作成しなくてはなりませんが、その作成費用はどこから出るのか。それは生徒負担なのか。だとすれば、損失額が多大な時、何も知らずにこの講座を選択した一部の生徒に負担してもらうことは可能なのか、また、もし資料などが必要な時はどこに請求すればいいのか。等々。それらの数多くの問題が何も解決されないままこの講座はスタートし、担当者としては先々不安でした。その後、その辺りに詳しい保護者のご協力を仰ぐことができ、一つずつの問題を解決しながらではありましたが、生徒た[Mutsuura Junior and Senior High Schools]Kanto Gakuin Mutsuura Junior & Senior High School Third GladeInterdisciplinary Learning Program for the First Semester: “Hazard Map”As part of interdisciplinary learning programs, “Production and Sales of Hazard Map” has been included this year in the third-grade students’ curriculum. Despite many problems, we successfully started the program. In preparing the hazard map, 15 students, under the leadership of the editor, developed a plan on their own and students’ parents offered detailed instructions. Thanks to their cooperation, a well-rounded hazard map has been produced and sold. All the proceeds from selling the hazard map were donated to those affected by the Great East Japan Earthquake. In the second semester, students have started developing a hazard map covering the Kamakura area. We have been amazed by the great competence of students and generous cooperation extended by parents to make this program a success.今ちの力により、このような素晴らしいハザードマップを作成・販売することができました。その結果、生徒たちが考えていたように「売上金は全て東日本大震災の義捐金に」することができたのだと思います。①製作過程 まずは、本校での集団下校の際の最南端は北久里浜駅ということから、学校から北久里浜駅までのハザードマップを作成することが決まりました。そして、実際に何回かに分けて歩いてみて、中学生の目から見て危険なところ、非常時の広域避難場所、病院、コンビニエンスストアーやAEDなどの所在、さらに今、自分たちは高度何メートルのところにいるのか、等の写真撮影や調査を行い、それらを地図に書き入れて行く作業から始まりました。基本的には調査を行う取材班と、取材班の調査を元に本を作成していく編集班と分かれて作業をしていたはずでしたが、編集の段になって、「どうして危険なのか」「これはどこなのか」等、記入し忘れた所なども数多く見つかり、夏休み中に集合してもう一度調べ直すこともありました。また、横須賀市防災センター『あんしんかん』にも出向き、ハザードマップの作り方等も学んでいます。そのような中で、取材の際には、全体の代表者ではありましたが編集班であった女子生徒が、「現場を知らなければ良いものはできない」という信念のもとにすべての取材に同行してくれたのも、取材班の生徒たちにとっては心強かったと思います。 一つの取材が終わるとすぐに、編集が始まります。どの写真をどのようにすれば、また、ページのレイアウトをどのようにすれば見やすいのか、緊急時に本当に知りたい情報とは何なのか。それらをピックアップし、パソコンで一冊の本に編集して行く作業ですが、これも製本をしてくださる『関東学院サービス』の方のご協力をいただきながら、みんなで案を出し合い、何度も何度も議論をしたことで誰も想像できなかったようなハザードマップが出来上がりました。②販売戦略 完成はしましたが、どこでどうやって売るのか。販売方法も考えなければこの講座の意味がありません。そこで出てきた案が「六浦祭(本校文化祭)および関東学院六浦小学校バザーでの販売」でした。六浦祭では何とかなるものの、「小学校のバザーでの販売が可能なのかどうか」は不安な点ではありましたが、小学校の先生方やぶどうの会の皆様のご理解もあり、販売場所として一角をお借りすることができ、2日の六浦祭では平日にもかかわらず52冊、3日の六浦祭と小学校バザーでは56冊ずつ、計164冊を1冊500円で完売することができました。この500円という値段も、若干高めの設定ではありましたが、「売上金は全て東日本大震災の義捐金にしたい」という生徒の案から、「だとすればワンコインが買い易いのではないか」と考えて決めたものです。③総括 結局、私は最初に「案」を出しただけで、後は一緒に歩いたり、製本してくれる業者に連絡したりするくらいで、ほとんど何にもしなかった⋮と思います。すべては編集長を中心に16名が自主的に考え、行動しました。結果、こんな素晴らしいハザードマップが完成したのは、本当に生徒たちの力の偉大さであり、色々と助けて下さった方たちのおかげだと思っています。普段の勉強だけでなく、このような時にいかに力を発揮できるのか。総合学習として一番重要な点ではないでしょうか。後期は鎌倉方面のハザードマップを作成中です。いつ、どのように販売するかは生徒の考え次第ですが、皆様が「欲しい」と思えるような商品が出来ると思います。その際にはぜひご購入くださるようお願いいたします。

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