関東学院学報 No.45
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12 KANTO GAKUIN NEWS No.45政治家を職業にせず、いつでも身を引く覚悟で臨む 私が政治の道を志した理由は、人と接することが好きだったからです。そして、そのコミュニケーションを仕事にする究極の形が、政治だと思ったからです。サラリーマンとして人事コンサルタントを経験した後に、30歳の時に葉山町議会議員としてキャリアをスタートさせて、2期目の途中で町長選へ立候補し今に至っています。 なぜ葉山町だったのかと言えば、私は学生時代からウィンドサーフィンをやってきました。海から見る葉山町はとても素晴らしい景観だったのですが、当時あった葉山のマンション開発や山崩れを海上から目の当たりにし、この美しい景観の町を守りたい、将来に残さなければ、という強い思いが芽生えたのです。今でもその思いは心に深く刻まれています。 ところで、町づくりで中心となる人材は「よそ者 若者 ばか者」とよく言います。私はちょうどそのすべてに当てはまるんです。客観的に町の魅力を知っていて、町の価値をそこに見出し、エネルギーをもって突っ走れる、そんな人材だとも自分のことを勝手に評価しています。 今、私を支えているのは町民の皆さんのお力です。期待と応援のメッセージやときには厳しいご指導もいただきます。しかし、その一つひとつが、本当に自身の活力になっています。町長選でマニフェストを掲げ、その実現に基礎固めをした昨年、そして、今年は少しずつそこに花を開かせていく、その実感を多くの皆さんと共有できればこれほどうれしいことはありません。私を通じて、皆さんがともにつながり合うことができるよう、いただくお力には、成果をもってお返しすると覚悟して働かせていただいています。 ただ、この仕事には、心身を捧げる強い意志をもって臨んでいますが、必要がないと言われたら速やかに身を引いて、次の人へ引き継がねばいけないとも考えています。時代にマッチした人材が求められるのが政治家で、政治家を職業にすべきではないと思っているからです。ですから、次は国政へチャレンジしようなどとは微塵も考えていません。この仕事が終わったら、漁協に頼んで大好きな海で、漁師のお手伝いをやらせてもらえないかと考えているくらいですから(笑)。町を守るために「人になれ 奉仕せよ」を体現 今の自分の根底にあるものは、すべて学生時代に培った力です。自分をマネージメントし、知識・技術・精神の心・技・体を駆使することで物事を前に進めることを学びました。キリスト教の精神に基づいた校訓「人になれ 奉仕せよ」は、思い出すことがしばしばあり、常々素晴らしい言葉だと感じています。 スポーツから学んだことも数多くあります。自分がいかに弱い人間かを露わにするのがスポーツです。ウィンドサーフィンで日本一になったことよりも、後輩にその姿を見せられたことの方が、自分にとって財産となりました。指導してくれた先輩にも感謝しますが、後輩が自分を支えてくれて、後輩からモノを学んだと理解できたことで今の自分があります。自分を冷静に客観視して、どのように価値を高めていけばいいかを理解し実行する。それができた時の成功体験が人生の基礎を作ってくれました。 私たちは先行きの見えない激動の時代を生きています。これから経済がさらに厳しくなれば、豊かな時代は終わりを告げるでしょう。その時こそ、私たちは気持ちと思いで常につながりあえる存在でいたいのです。それが人間の本当の豊かさ、心の豊かさであり、生きていく喜びを実感できるものだとも思っています。この葉山町は、海や山という永続的な自然の中に人々の温かい心が宿っている所です。人々がゆるやかにつながり、将来へ夢や希望のある暮らしができるような、持続可能な社会を作っていきたいと考えています。葉山町役場逗子東逗子新逗子相模湾森戸神社逗子市葉山町●山梨崇仁(やまなしたかひと)氏 略歴1977年�東京都生まれ2000年�関東学院大学経済学部経済学科卒業2006年�法政大学大学院政治学研究科政治学専攻修了一般企業就労を経て2007年�葉山町議会議員2012年�葉山町長Aiming to Create a Town Where People Can Keep Their Dreams and Hopes Alive and Achieve a Sustainable Society by Making Efficient Use of an Abundance of NatureWe interviewed Mr. Takahito Yamanashi, who is a graduate of Kanto Gakuin University’s College of Economics, Department of Economics, and currently serves as the mayor of Hayama Town. Mr. Yamanashi, 36 years of age, said that, during his school years, he learned how to manage himself, and he also learned the importance of doing things based on The combination of mind, skills, and body. When he was a senior at the university, he and the windsurfing team to which he belonged were ranked first in Japan. He said that this success formed the foundation of his life.Since assuming the mayor’s office, he has dedicated himself to the betterment of the town’s residents without taking any days off, while exemplifying the school motto “Be a man, serve the world.” He says that what supports him is the voice of the town’s people. At the end of the interview, he enthusiastically concluded that he hopes to further strengthen the relationship with other people to achieve a sustainable society.葉山町役場

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