関東学院学報 No.45
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KANTO GAKUIN NEWS No.45 11葉山御用邸を抱える風光明美な町 葉山町は海と山に囲まれており、自然豊かな地勢と温暖な気候に恵まれています。全国渚100選に選定された葉山海岸として、複数の観光名所が海岸沿いに点在する一方で、山に目を転じると、最先端をいく科学技術の集積所ともいえる湘南国際村もあります。また、横浜市部や都心へのアクセスもよく利便性にも優れています。こうした土地柄のおかげで、移り住んでくる方も多く、人口は減少せずに近年は微増傾向を保ってきました。町長という立場になって、葉山町という空間がもつ魅力を感じてくれる方が多くいることを改めて嬉しく思い、町がもつブランド力に感謝しているところです。 葉山町は課税所得額が全国で12番目に高い自治体です(2008年総務省統計)。ですから、町はとても裕福で、行政サービスも充実していておかしくありません。しかし、現状は違います。過去に社会インフラ整備に多くのコストをかけたことで借金返済が膨らみ、財政状況は硬直化し、現在、お預かりした税金を行政サービスとして十分に住民に還元できていません。ここにきて経常収支比率がかなり悪化し、これまで安穏と過ごしてきたツケがまわってきたと思っています。こういった財政問題の解決という大きな命題をはじめ、行政として、どうやって豊かな葉山町を将来へつなげていくのか、それをお示しし、実行していくことが、私に課せられた使命だと思っています。町ができることは限られていますが、将来に負担を残さず、できることから町民に還元していく。今、そのためにできることは、知恵と工夫で可能性をさぐり、そして町の人々がつながり合うこと、そのための支援や仕組みづくりをしっかりすることです。たとえば、知識や技術を蓄積した元気なシニアには、子育てや教育、文化の振興などのサポートをしてもらえる仕組みを作りたいと思っています。また、子ども達が自然に親しみながら成長していく中で、一次産業分野に注目を集め、一次産業から町を発展させて活性化し、さらなる葉山町の魅力を生み出すことも考えています。夢や希望がもてる町を目指し、豊かな自然を活用した持続可能な社会をつくるゲストOB 山梨崇仁氏葉山町長建学の精神を生きる「卒業生に聞く」一色海岸花の木公園棚田

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