関東学院学報 No.45
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KANTO GAKUIN NEWS No.45 9関東学院六浦小学校統合学力教育の確立 人生という航海では、コンパスが最も重要である。どんなに個人の能力を高めても、その方向によっては、正しい教育ができたということにはならない。児童が十分な学力を獲得すると同時に、キリスト教の精神に基づいた人間教育によって、愛と思いやり、自主自律の精神、協調性、奉仕の心を身につけ、教職員と保護者が一体となって、各児童の個性を尊重しながら、豊かな人間性を育成し、正しい方向に力を発揮するための基盤を養う。豊かな社会性の基盤 現代は児童の社会性を育成する機会が激減し、以前に増して教育現場にその役割が求められるようになった。若者の社会への不適応が増加し続け、他者への信頼感や自己肯定感の育成は、今日の初等教育の最重要課題になりつつある。豊かな社会性は、喜びを分かち合うことを通してその基盤が作られる。人間は本来社会的な生き物であり、子どもたちも周りの人と喜びを分かち合おうとする。その喜びを数多く体験することこそ豊かな社会性の基盤と言える。関東学院六浦小学校の教育 わたしたちは、十分な知識を児童が獲得すると同時に、その過程において知的関心を満たし、知識を得る喜びを経験することこそが、学びを本当に豊かにし、自主性を育むと確信する。喜びと楽しさを経験せずして、真に自ら学ぶ道を選ぶことはない。喜びは誰かと分かち合いたくなるものであり、その喜びの共有体験は、豊かな社会性を育成する欠かせない基盤になる。そこで、学習活動では次の三点を柱とし、児童に絶えず働きかける。1) 体験を重視して、子どもたちの豊かな感性に働きかけ、知的好奇心を引き出す。2) 友達や教員と共に学ぶことの良さを知ることで、人への信頼感や自己肯定感を育む。3) 多様な考え、感性、価値観を表現し合い、互いに個性を尊重する心を養う。カリキュラムの充実および実施体制の構築 地域社会や卒業生、学院各校と連携した体験型のカリキュラムを構築し、児童の知的好奇心に働きかけ、学習に喜びを創造し、社会性の豊かな児童を育成する。また、教科教育にあたっては、十分な基礎学力を身に付けるため、教育の質を保証するガイドライン及び実施体制づくりを行う。児童の学力を学習状況、到達度で評価するフォーマット及び運用ガイドラインを策定し、児童の学習の目当てや励みになり、保護者にとってより分かりやすく、学習をサポートしやすいものとする。募集活動の充実 入学定員を持続的に確保するため、幼稚園・保育園や幼児教室を対象とした志願者募集活動の充実及び、地域やステークホルダーとの連携強化により戦略的実施体制を構築する。また、地域に向けた計画的発信と、地域との信頼関係の構築をもとに、私立小学校として選ばれるに相応しい価値を具体的に示す。心の宝物を蓄えて人格の芯を形成 関東学院小学校のテーマは「夢を育む学校」である。本校に学ぶ児童が学習、生活を通じて自分の夢を持ち、心の宝物をたくさん蓄えて人格の芯を形成し、それぞれの夢を実現する力をつけて卒業する。「夢」をキーワードにした学校づくりに取り組む。 校訓「人になれ 奉仕せよ」を小学校段階に敷衍した具体的なあらわれとして、本校ではSG(サービスグループ)の活動を日常的に展開している。これに典型的にあらわれる奉仕の精神を養うとともに、みずからの手でこれからの社会をつくりだし、平和で幸福な世界を実現することで世に奉仕する、そのようなリーダーシップをも発揮できる児童に育てる。人の痛みのわかる感性、世の中のものごとを知る知識、そして社会をつくりだしていく知恵を身につけ、自立かつ自律した児童の育成をめざす。基礎学力、読書力、自己表現力、プレゼンテーション能力を育む その成長を保障するため、基礎基本の完全習得をめざすとともに、進学の夢を実現するカリキュラムを編成する。また、本校の特色として展開してきたライブラリーを中心とした読書活動のさらなる充実発展をはかる。本物に触れ、実感を伴って体験する学習、専門性の高い実技表現系の学習、大胆な発想による特別活動、学校行事を取り入れる。ICT教育は機器の操作学習に留まることなく、自己表現の手段として機器を扱うという観点のもと、プレゼンテーション能力の育成に取り組む。 上記の理念と方向性を具体的に表現した夢を育む教育課程を編成し、新校舎各施設の活用と連動して展開する。たとえばICT教育を実現する環境は新PC教室を核として整備する、新設のランチルームにおける給食(2013年度導入予定)の効果的な活用法を検討する、新校舎のゆとりあるスペースを活かした読書活動を既存ライブラリーと連携して構築するなど、新校舎の有効活用を図る。新しい教育を創造する教職員 自立と自律をめざして子どもたちの力を伸ばす教育課程を創造し実施する教職員にも自立と自律が求められる。不断の研修により力量を高め、チームとして補いあい育てあう教員組織をめざすとともに、機能的な人事と権限委譲により校務分掌の遂行能力を高めていく。また、世代間バランスのよい教員配置に取り組む。 募集広報活動は「人が人を呼ぶ学校」をコンセプトに展開する。広報課と連携したPRにより来校者、志願者増を図り、「関東学院小学校に入学させてよかった」と実感する保護者の声を入学者確保につなげる。オリジナルグッズの訴求効果にも着目し、中学高等学校とともに三春台校地における関東学院ブランドの確立をめざす。 在校生、保護者、教職員、卒業生、地域の人々、学校にかかわるすべての人が関東学院小学校を愛し、誇りとし、支えながら発展させていく学校をめざす。“「喜びを分かち合う教育」の創造”“「夢を育む学校」づくり”関東学院Kanto Global Plan~Olive7~関東学院小学校学校長/岡崎一実学校長/森島牧人

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