関東学院学報 No.44
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新たなスタートをきった「のびのびのば園」が取り組む食育プログラムNobinobi Noba En Pre-schoolKANTO GAKUIN NEWS No.44 3特集◉関東学院の食の環境 「のびのびのば園」では、年間を通してワークショップ形式で、「つくるを楽しむ」「フラワーアレンジメント」「書を楽しむ」「造形」「リトミック」などを行っていますが、その中でも「クッキング」は最も力を入れているプログラムです。「おままごと」ではなく、本物の「経験」をさせたいという園の方針に基づき開園当初に導入されました。「食育」という言葉がメディアに取り上げられるかなり以前から「食」からの学びに着目してきたのです。 「クッキング」というと、予め用意された食材を使って、お決まりのメニューを作るというイメージがありますが、それでは将来につながる豊かな「経験」にはなりません。そこで、メニューを考え、食材を選び、買い物に行くところからスタートし、先ずは自分たちが生活をしている地域を知ります。個人店舗やスーパーマーケットで買い物をすれば流通の仕組みの一端に触れることもできます。調理自体は、年少ではごく簡単な作業だけですが、年長になるにつれて、少しずつ包丁などの調理器具も扱うようになります。味付けや試食では、自分が作ったものを食べる楽しみ、食べてもらう喜びを子ども達は実感します。調理過程だけでなく、社会勉強などを含めた食に関連する一連の流れを経験する、それがのば流「クッキング」なのです。 今回の園の新たなスタートにあたり、食関連の施設も新設されました。アレルギー対応を考慮した完全給食の開始に伴って、給食室とランチルームを完備し、すべての園児への給食の提供をスタートさせています。例えば、イスラム教の信仰者向けに、ハラール(法に則った基準をクリアした)食材も提供できます。食は文化の最たるものですから、文化的な側面の支援は欠かせないと考えた上での園独自の配慮です。また、「クッキング」をより充実させ、円滑に行うために、調理活動を楽しむ環境を整えました。更に、調理の際に出た生ごみを有効的にリサイクルする「コンポスト」も導入されています。生ごみは土に戻すと分解され堆肥化します。効果的に生ごみを利用しながら肥料にしていくこの働きから、命を養うものは命であることを学びます。 しかし、園のみでできることには限界があります。「食育」はご家庭での日々の協力も欠かせないのです。そこで、今後は、保護者を対象にした「食育」に関する学びの機会を設ける企画も準備しています。子ども達が豊かな人間性を育み、しなやかな心と体を培えるよう、「食育」への取り組みはこれからも豊かに広がっていくことになります。関東学院のびのびのば園の食育特集生きるための基本的な知識と力を培う「食育」が、子ども達の人間性と心と身体を健やかに育みます

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