関東学院学報 No.44
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KANTO GAKUIN NEWS No.44 1大学改組構想の背景 2018年以降、18歳人口は120万人を割り込み、徐々に減少し始めます。そして、その5年後には110万人を大きく下回ります。現在でも私学の約40%が定員割れの状態にあるということですので、その頃には、存続困難になる大学が続出する恐れがあります。その一方で、2002年に工業等制限法が撤廃されて以降、大学への規制緩和が加速するなかで、比較的安定している都市部の知名度の高い大手私学にあっても、危機意識をもって定員純増を伴う新学部や新学科の設置、キャンパス移転などを行い始めました。それが、より優秀な入学者の確保、あるいは規模の拡大によるスケールメリットの享受を目指した熾烈な大学間競争を引き起こしています。 関東学院大学は、そのような競争環境のなかにあって、よく言えば泰然自若、冷静にみれば環境変化への感度が鈍く動きが緩慢でした。そのために、長年にわたって培ってきた優れた教育資源を最大限に活用することなく、結果として社会的評価を改善することができていません。本学が、数年後の厳しい環境のなかで安定的に存続していくには、時代の変化に適応して、学生に社会で主体的に自立して生きる力を与え、社会に貢献する人材に育成する体制をさらに強化しておかなければなりません。もちろん、本学の教職員はそのことに気づいています。したがって、学部・学科等の改組を推進して時代とともに変化しなければならないとの認識が高まっています。改組計画の進行状況 2010年9月以降、理事会の中の大学委員会が中心になって学部・学科の改組を検討してきました。そして、2011年7月に大学委員会において改組案を確定し、関係学部等でその実施に向けて検討を進めてきました。その結果、同年10月、工学部を改組して、理工学部と建築・環境学部を設置することが決まりました。これは、工学部を単に二分したのではなく、それぞれの理想とする教育を実現するに適した教育の器を構築することを目指したものです。理工学部(入学定員438名)と建築・環境学部(同130名)については、今年5月末に文部科学省に設置届出に必要な書類を提出し、受理されましたので、2013年4月開設が確定しました。現在学生募集の広報を展開しています。 改組を構想するなかで、看護学部の新設が大きなテーマになりました。4年ほど前に近隣の総合病院から看護師養成課程設置の要請がありながらも、実施されませんでした。現在の理事会体制になって、再度の要請があり、慎重審議の結果、看護学部(同80名)設置を決断しました。看護師養成は本学にとって未経験です。それにもかかわらず、実施を決断したのは、この教育によって校訓「人になれ 奉仕せよ」を直接的に具現化する人材育成ができる、看護師不足が深刻な状況で地域医療・福祉の充実に貢献できる、と判断したからです。2011年2月より人事に着手しました。看護学部のための新棟建設工事が2012年3月に始まりました。同年5月末に学部設置申請書類を提出しました。設置審査会の審査結果が出るのは10月中です。認可されると、Greeting関東学院大学の新時代を拓く一歩看護学部が使用を予定している新棟の完成予想図関東学院大学学長大野功一

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