関東学院学報 No.44
18/24

KANTO GAKUIN NEWS No.44 17関東学院各校NEWS[Junior and Senior High Schools]Overnight Field TripFor the field trip program from Sunday, June 4th to Saturday 9th, each grade was assigned a different theme. Students in the first grade of the junior high school had a retreat at Amagi, Izu City, Shizuoka Prefecture. Under the direction of the appointed Executive Committee members, a peaceful candle service was held. Students in the second grade went to Osaka where they learned about issues pertaining to human rights. At the Osaka Human Rights Museum, the museum staff gave a lecture. The students learned about AIDS caused by contaminated blood products and other issues. They also visited the Korean town in Osaka to learn about discrimination against people from the Korean peninsula. Students in the third grade chose to go to either Hiroshima or Nagasaki. All students, regardless of their destination, had an opportunity to understand the terrible disaster caused by the atomic bombs. The students met survivors of the atomic bombings to listen to them talk about their experiences and from them they learned about the preciousness of life. First-year senior high school students had a retreat at Fuji Hakone Land where they were profoundly reminded of the preciousness of life and the importance of living for others.月4日から9日までの期間で、各学年のテーマを掲げ研修を実施しました。生徒がそこで経験したことが、必ずこれからの彼らの生き方に力を与えることと思います。 生徒の感想を紹介いたします。中学1年生◉小野 優輔 修養会で最も印象に残ったことは、キャンドルライトサービスです。僕は、修養会実行委員でキャンドルライトサービスの聖書を読む係でした。本番前は、すごく緊張して震えが止まりませんでした。これから250人くらいの人の前で聖書を読むと思うと、失敗したらどうしようとか、マイナスのことばっかり考えてしまい、不安でいっぱいでした。 キャンドルライトサービスが始まりいよいよ自分の出番になりました。ステージに立って聖書を読みました。聖書を読んでいるときはあっという間で、間違えないで読むことができました。正直、ここまで緊張するとは思っていなくて、それでも聖書を読み終わっていままで以上の達成感に浸ることができました。僕はこの機会で、人前で言うことの大切さを知りました。これからは、人前で自分の意見を述べたりすることが多くなります。恥ずかしくならないようにするのも大事ですが、自分の意見をしっかり言うことが良いと思いました。次に天城に行くのは高校3年生だそうです。その時は、自分たちの力で行動して修養会を作っていきたいと思います。中学2年生◉顧 逸星 今年の研修旅行のテーマは人権。でも、私はこれ中学校高等学校中学校教頭 鍬塚 浩一6宿泊校外教育活動まで人権のことをあまり考えたことがなかったのでよくわかりませんでした。人権博物館では、施設の方のお話を聞き、薬害エイズのことや、この地域が昔はワタナベ村とよばれていて被差別部落だったことなどを知りました。そして中に入っていくと、岩崎孝祥さんへのメッセージキルトや年表などさまざまな展示があり人権を尊重することの大切さを学びました。コリアンタウンでは朝鮮半島から来た人々への差別を知り、どこの国の方でも自分たちは人権を尊重しなければならないと思いました。 今回の研修旅行で私が学んだこと、それは世界に生れてきた全ての者に、人権というものがあるということです。それを身近で体験できて良かったと思います。中学3年生◉小林 瑠璃子 今回、私が長崎へ行って学んだことは、「命の尊さ」である。そして、私たちが今、当たり前のように暮らしている日々は、かけがえのない大切な時間だということだ。 戦争とは、原爆とは、何なのだろうか。戦争を経験していない私たちからすると難しい問題かも知れない。授業を聞いて、ビデオを見て、わかったつもりでいたけれど、実際長崎へ行って初めて痛感した被爆者の方々の思いがあった。安井さん(被爆者)の話を聞き、私は直接聞かなければならないことがたくさんあると感じた。 安井さんは、「今生きているこの時間を大切にして欲しい」、「平和の花を育てて欲しい」と熱く伝えていた。原爆が落とされてから、すでに長い年月が経っている。しかし、原爆によって心と体を傷つけられ、家族を失った人々の叫びは、今もなお私たちに原子爆弾の恐怖を伝えている。本当に脅威とする存在とは一体、何なのだろうか。戦争?原爆? 私は、最も恐れるべきは人間そのものなのだと思う。戦争を起こしたのは人間。原爆をつくったのも人間だからである。私は、人はなぜ、お互いに傷つけ合うのだろうか疑問に思った。 安井さんが今の私たちに伝えたかったことは「協力する心」である。私たちに果たしてその力があるのだろうか、と心配になる。原爆を経験した人々はいずれ、忘れ去られてしまうのだろうか。そして、私たちはまた同じ過ちを繰り返してしまうのだろうか。長崎へ行って、安井さんが私たちに熱く心中を語ってくれたように、私たちも平和へのメッセージを次の世代に語りついでいかなければならない義務があると思う。 いつも学校で唱える「互いに愛しなさい」という聖書の御言葉は今回、長崎で私が学んだことそのものだと思った。私たちは自分の命を大切にしなければならない。そして、私たちには平和を実現する力がある。私たちが今生きているこの時間は、戦争で亡くなった方が生きたくても生きられなかった未来なのだから。そのことを噛みしめて、これからも私は一日一日を大切に生きていきたい。高校1年生◉長尾 知樹 「地の塩」として生きることとは、「小さな仕事を感謝して他者のためにすることだ」と修養会で講師の陣内さんは話された。それは、神の似姿に近づく行為なのだそうだ。そう考えるならば、地の塩=神の似姿になる。神が尊いものとされているように、その似姿も尊いといえるだろう。私たちが地の塩として生きていけば、皆の命が尊ばれるのである。 2日目のキャンドルライトサービスで、「人と全く話さなかった赤ちゃんは一カ月も生きられない」という話を聞いた。今僕が生きているということは、やはり自分自身も人に支えられてきたのだと実感した。全ての人は何らかの形で人に仕えているのである。すなわち、地の塩として生きる私たちの命は尊い。 この修養会で自分の考えを見いだせたことは、今後数十年生きていく上でとても有意義だったと思う。少しでも人の役に立てるように、地の塩のように生きていこうと決心した。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です