関東学院学報 No.43
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18 KANTO GAKUIN NEWS No.43関東学院各校NEWS六浦中学校ラグビー部、東日本大会出場六浦中学校・高等学校ラグビー部顧問 林 広大〜生徒の熱意から生まれたもの〜 ラグビー部は、2005年、部員5人の小さな愛好会からスタートしました。当時中学1年生だったこの5人が「ラグビーがしたい」と、関東学院大学ラグビー部コーチの経験のある本校事務長に熱意を訴えたのが始まりです。練習場所はなく、近隣の公園でたった1、2個のラグビーボールを使い練習をしていました。3年後、部員は中高合わせて20名に膨らみ、念願だった人工芝のグラウンドで活動できるようになりました。やがて部に昇格し、公式戦に出場しましたが予選負けや1回戦負けばかりの辛い日々でした。しかし、その経験を通して部員達の心の中に、強い信念が生まれたように思います。「試合ができればいい」という思いが「試合で勝ちたい」という強い希望に変わったのです。 2009年度のシーズンから、六浦中学校ラグビー部は県大会3位、関東大会そして東日本大会初出場という成績を収めることができました。部員達の信念に加え、六浦中高にはラグビーに精通した指導者陣だけでなく、練習環境も整い始めました。特に人工芝での練習は、他の学校にはない特権です。これにより、「関東学院六浦中学校・高等学校でラグビーがしたい」と志す生徒が増え、部員数も一気に増えました。現在中高合わせて総勢60名で活動しています。強豪校との試合 今年度9月から始まった神奈川県秋季中学校[Mutsuura Junior and Senior High Schools]Mutsuura Junior High School Rugby Team Competes at the East Japan TournamentMutsuura Junior High School’s rugby team was first formed in 2005 with five members. Three years later, the number of team members of the junior and senior high schools combined increased to 20 and has now reached 60. Last September, the junior high school team once again advanced to the semifinal of the Kanagawa Prefecture Fall Junior High Rugby Football Tournament marking three consecutive years where they have competed in this tournament. This year the team played against Toin Gakuen, a strong opponent. Mutsuura’s team won against Toin Gakuen with a score of 31 -14 and then went on to the 31st East Japan Junior High School Rugby Football Tournament for the second time. In the tournament, the Mutsuura team lost in the first round by a narrow margin. The team members have grown rapidly through the tournament. As Mr. Haruguchi always says,”the point of playing rugby is to make friends,” it is hoped that the Mutsuura rugby team members will build life-long friendships with each other.ラグビーフットボール大会にて、六浦中学校ラグビー部は、部員達の健闘により、3年連続で準決勝に進出しました。準決勝の対戦相手は、強豪桐蔭学園です。桐蔭学園中学校は昨年度の東日本大会では3位、高校も昨年度インターハイ優勝するなど全国でも有数のラグビー強豪校です。昨年もこの秋季大会準決勝において、桐蔭学園と対戦しましたが、14対21という1トライ差で惜しくも勝利を逃してしまいました。栄冠まで手が届きそうで、まだ届かない…。その悔しさを一人ひとりが心に灯し、桐蔭学園に勝つことを目標に、部が一丸となりこの一年間厳しく辛い練習を重ねてきました。 迎えた10月16日、保土ヶ谷ラグビー場にて桐蔭学園との準決勝が行われました。試合直前、私は部員達に、「楽しんでこい。負ける要素がないほど、準備をしてきただろう。歴史を変えよう。」と声をかけました。この一年、辛い練習の中で、私が指導できることは全て教えきったように感じており、あとは子ども達の力を信じるだけでした。試合展開は、序盤こそ緊張がみられましたが、メンバー一人ひとりに気迫が溢れ、前に出る姿勢を貫き通した結果、桐蔭学園から5トライを奪い、31対14で勝利を収めることができました。 試合後、私は、メンバー一人ひとりと握手を交わし、労いの言葉をかけました。そのときの一人ひとりの表情は記憶に焼き付いています。忘れられないほど、いい笑顔でした。 そして桐蔭学園に勝利したことで、2年ぶり2回目の東日本大会への出場を果たしました。第31回東日本中学校ラグビーフットボール大会 東日本大会に出場してくるチームは全てが強豪校です。1回戦の相手は、春の関東大会で惜敗した東京都代表の世田谷区立千歳中学校であり、我々にとってどうしても勝ちたい相手でした。 しかし、敵ながらさすがと思わせる鉄壁のディフェンスと、自慢のボールを繋ぐラグビーを展開し、前半の終了間際まで0対19とリードされました。しかし、負けじと本校も、後半5分にトライをもぎ取り12対19と7点差まで追い上げます。「あと1トライが欲しい、そうすれば同点だ」と思った矢先、肝心なところでミスが目立ち始め、結局12対47でノーサイド、試合終了。ここで2011年度のシーズンが終わりました。 試合後、選手を集めましたが、皆が大粒の涙を流している前で、私は勝たせてあげられなかったという自責の念にかられ、共に泣きました。しかし、彼らにとっては、これで全てが終わりなのではなく、この先、高校そして大学へとつながる一歩にしてほしいと思っています。彼らは一試合一試合ごとに目まぐるしく成長しており、それに伴って私も成長させられました。厳しく指導にあたることもありますが、彼らが成し得たことを、仲間と共に喜びと達成感を積み重ねていけるように導いていきたいです。恩師からの学び 私は大学時代、現関東学院大学ラグビー部部長の春口廣先生に4年間指導を仰ぎました。春口先生から学んだことは深く私の中に根付いています。春口先生の言葉に「ラグビーは1人ではできない。仲間でやるスポーツだから。」というものがあります。ラグビーはチームプレイであり、チームが強く成長していくためには、仲間が必要不可欠です。春口先生の言葉は「なぜならばラグビーとは仲間作りである。」と続きます。私は、彼らに、ラグビーを通して、生涯続く仲間との関係を築いていってほしいと願っています。

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