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2016年度関東学院大学入学式 小河陽学院長祝辞(全文)

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新入生の皆さん、関東学院大学、大学院にご入学おめでとうございます。また本日ご列席の保護者、ご家族の皆さん、ご子息ご息女のご入学、心よりお祝い申し上げます。

さて新入生の皆さん、皆さんが入学された関東学院大学、大学院は今年創立132周年を迎える長い歴史的伝統を持った学校です。私立学校はそれぞれ独自の教育の理念を持って建てられていて、それを建学の精神と呼びますが、関東学院のそれは「キリスト教に基づく学校教育」です。130年余という長い歴史を通して、関東学院はキリスト教精神に基づいて教育を行う学園であろうとする、この建学の精神を大切にしながら、130有余年の長きにわたって、毎年新入生を迎え、この教育を習得した若者たちを卒業生として世に送り出してきました。

キリスト教精神に基づく教育と言っても、高等教育の場である関東学院大学はキリスト教信徒をつくることを目的とはしていません。これから皆さん一人ひとりは、学生としての生活の中で様々な人と出会い、また様々な考え方に出会うだろうと思います。まさに多様な文化や思想や価値観が行き交うところが大学なのです。皆さんは大学においてそれぞれ異なる専門分野で異なる知識や情報に接して、それらを習熟することになると思います。皆さんにはそうした知識・情報、知恵をいっぱいに身につける、そのことが期待されているのです。現代の社会に通用するだけの有効な知恵と知識を備えた人間を作り上げる、それが大学というところに期待された基本的使命であることは他の大学と全く変わりはありません。知識量の拡大と科学知識や技術の進展が過去とは比較にならないほどのスピードで進む現代において、その基本的使命はますます重要になっています。本学が掲げるキリスト教はこのように多様な文化、多様な思想や価値観が行き交う大学において、大学が本来的に持っている自由と自立の姿勢をもってそれらの知識と知恵を貪欲に学び取っていくことに対して何らそれを束縛し、規制しようとするものではありません。ましてや特定のキリスト教的立場だとか信仰を強制するものでは決してありません。むしろ、キリスト教に本質的なものは、人間をあらゆる束縛から解放して、自由な主体、自由な人間として真理を探求することのできるように導こうとするものです。そこにあるのは「真理は汝らを自由にする」という確信に立つ、真理への畏敬の念であり、真理探究への謙虚な姿勢です。

皆さんはこれから私たちの関東学院大学の専門教育において、私たちの時代と社会が現に機能している生きた様々な概念や価値、それによって私たちが社会の中で生きる様々な理念や考え、また技術や技能を学ぶのです。ひと言で言えば、自然の世界や人間社会の仕組みについての正しい知識を習得することが求められています。私たちの生活世界がグローバル化していく現代情況の中では、そうした知識や情報の世界が拡大するというだけではありません。私たちが生きる社会生活のあり方は、ますます複雑多様になり、価値観も世界観も複雑多様になっていきます。だから、大学のさまざまなクラスで提供される知識や情報を学び取るには、本当に真面目に熱心になって取り組まなければ、到底習得しきれないだけの学びが皆さんを待っているのです。

しかし他方で、人間が社会の中で生活を築きあげるためには、如何にたくさんの知識量を誇っても、それがばらばらのままであってうまく機能するはずがありません。知識や洞察が相互に関係なくばらばらに存在している、それだけでは私たちにとって、また社会にとって有効な知識とはなりません。それらの根底には、それらを意味あるひとつのものに統合する、価値に基づく規範が必要です。ところが、そうした規範は科学や技術が、また人文学や社会学の知識さえもが、それ自体で教えてくれるものではなくて、思想や宗教が提供するものなのです。

それゆえ、キリスト教の精神に基づく教育理念を標榜することは、自然と社会のありようについて、事実を解明するにとどまらず、解明された事実の価値や意味を探究する、そしてそれを人間や社会のために生かそうとする、そうした姿勢が大切なのだという考えに立脚しています。そのためには、教育の場においてキリスト教的価値があけっぴろげに語られている、あるいはどういう人間になろうとして教育・研究に携わっているのかという問いが絶えずおおっぴらに投げかけられている、あるいはそうした問いかけがなされることが確保されている教育を営むことが必要だということなのです。キリスト教の精神に基づく教育は、キリスト教からの問いかけ、チャレンジを受けて、新しい観点から人間や世界を洞察することを促すものなのです。キリスト教的な考え方、価値観、規範が提示されることは、あくまでそこからの問いかけ、挑戦を受けて、皆さんが教場で学び知る複雑で多種多様な知識や価値を前に、それらとどのように関わり、それらをどのように選びとって自分のものとする決断をするのか、自分で考え、自分なりの価値観、世界観、人生観を作り上げていってほしいとの願いがあります。皆さんはそうした問いかけに肯定的に、あるいは批判的に応答することを通して、自分という人格を形づくっていただきたい。「人になれ 奉仕せよ」という関東学院の校訓は、そのようなキリスト教精神が具体的な形で表現されたものです。

「文化」cultureという言葉の語源はラテン語のcultus / cultura、その動詞形coloに遡ります。その意味は単純に、「耕す」「耕作する」というものです。文化とか教養とか言われるもの、それは人が額に汗して土を耕す、その結果として実るものに他ならない、ということでしょう。皆さんも本学での4年間をそのように額に汗して地道に土を耕すような作業を通して、皆さん自身が収穫する果実を育て上げてください。そのようにして得られたものものこそが、皆さんの教養となり、文化的素養となるのです。

皆さんがこれまで述べたような姿勢で勉学に励むときに見出す真理は「出会いとしての真理」と呼ぶことのできるものだと思います。それは、みなさんがこの大学で多数の人たちにすれ違うというのではなくて、真面目にまた積極的にいろいろな先生や仲間と出会って人格的な関わりを持ち、関係を深めていく中で、「我と汝」という関係を築いていく中で、見出される真理だろうと思います。関東学院大学は皆さんがそのような真理を見出すことのできる可能性を提供している大学です。先生と学生が、また学生同士が仲間として親しく交わる中で学んでいくことができるように、少人数で営まれるゼミ形式の授業が用意されているのはそのためです。しかし、そうした可能性を現実のものにすることができるかどうかは皆さん自身の肩に掛かっています。「人になれ 奉仕せよ」、皆さんは4年間の大学生活の間機会あるごとに繰り返されるこの問いかけに応答して、有意義な学生生活を過ごしてくださるように願ってやみません。

それでは皆さん、これから共に、一生懸命にそれぞれの目標に向かって前進しましょう。

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